平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

GALLERY A4 《100人の築地》 2009/03/29

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左からギャラリストの岡部三知代さん、写真家・土田ヒロミ先生、竹中工務店の設計士・松隈章さん(本企画のナビゲーター)。土田先生も参加者と同様レンズ付きフィルム一台をもって撮影会に参加する。





全身の間接が痛い。東京築地周辺を約半日歩き回ったからだ。目線は鳥になり、虫となった。

GALLERY A4(エークワッド 竹中工務店本社内併設ギャラリー)主催 
《100人の築地》http://www.a-quad.jp/main.html
 
主催者の説明によれば以下の通りだ。
 この展覧会は、およそ100人の参加者によって、「築地を中心にした都市の風景;2009年3月28日」を同一のカメラ(レンズ付フィルム)の限られた枚数の写真コマ数に各自自由なテーマで写し取る一日限りの実験的イベントです。
「限られた枚数」、「プロ・アマ同一のカメラ」、「同一の日時」・・・などによって、「築地を中心にした都市の風景」に100人の参加者は何を記憶したのか?それに焦点をあてるのが、その後5月に行う展覧会の面白さです。
つまり「ファインダーを通して何をとらえたか(フレーミングやフォーカシング)」が重要になってきます。
撮影結果がすぐに確認でき、気に入らないコマを削除することもできる「デジタルカメラ」にはない「即興的な面白さ」や「プロセスの記録」が、そこ(アナログ)にはあります。
被写体となるのは「2009年3月28日の築地」をとりまく風景=見えるものすべてです。こうした優れた面白さを生かすためには、与えられたコマ数を無駄なく使うことが求められます。



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GALLERY A4のギャラリストは友人の岡部三知代さん(彼女の才能によって次々とこのスペースから新機軸が提案されていく)。そうして今回知り合いになった松隈章さん。
2006年に「東京駅」でスタートした本企画は、2007年 が「浅草モダン」、2008年には「東京タワー」と、変わり行く都市部の建築物や街並みに着目してきた。ある日、ある時、ある場所に100人の目線が同時に着目するというおもしろさ。
とにかく、与えられたのはレンズ付きフィルム27枚撮り一台のみ。うち一枚は参加者である「自分」の顔が係りによって写されるので、実質26枚が勝負。
ところで、このイベントの監修者というか、当日も参加された写真家の土田ヒロミ先生http://www.hiromi-t.com/menu.phpが撮影ガイダンスで、若いころにたずねたという土門拳先生のお住まいが、実はこの築地周辺にまだ残っているのではないか、と説明された(先日土門先生について書いたばかりだhttp://www.hirano-masahiko.com/tanbou/780.html)。
わたしは足が棒になるまで歩き回り、何とか「その場所」を探しあてることができた。きちんと裏付けを取ったわけではないので100%確証があるわけではないが、何人かの住民の証言を拾い集めると間違いなさそうである。今でもそこには人が住んでいるようだったので住所は明かさないが、その家に向かってわたしは「鬼がついた」ようにシャッターを切った。気付いてみたら、与えられた26枚のうち半分のフィルムを使ってしまっていた。

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ところで、時間軸で撮った26枚は、途中、気に入らないカットを取り除くこともできず、順番を入れ替えることもできない。すなわち写真集のように編集ができないのだ。きっとその足枷がこの展覧会を更に面白いものにしていくだろう。

このあと《100人の築地》は、みんなが撮影した作品で展覧会(2009年5月22日-6月12日)が行われ、またセッション(5月22日)も行われる(会場は共に東京のGALLERY A4)。最終的には、参加者の作品はコンテストを通過し、ブックレットになるということだが、それはひじょうに楽しみであり、同じくらい恐くもある。



あ〜 全身が痛い
I am not so young as I used to be.


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