平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

モノを購入するということ  2016/03/23

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この春、川久保玲がパリコレで活躍している間に、わたしは彼女のデザインしたジャケットを3着、パンツを2本、新調した。
ここ25年、COMME des GARCONS と ISSEY MIYAKE の間を行ったり来たりしている。川久保玲と三宅一生は、わたしにとって不動の存在である。

慌ただしく暮らしていると、年会員になっている劇団のお芝居には、半分程度しか行くことが叶わない。ただ安く観たいのなら、その都度チケットを購入した方がよっぽど得である。だが、それでも年会員になっているのは、たんにチケットを手に入れるという目的だけではなく、その劇団そのものの活動を応援しているからである。
それと同じで、ファストファッションのジャケットなら何枚も買えるようなジャケットをなぜ敢えて買うのかといえば、もちろんデザインがいいとか、長く着られるということもあるが、それ以上にそのデザイナーを尊敬し、活動を応援しているからに他ならない。これまでの活動に対する敬意とこれからの活躍に対する期待である。モノを購入するとはそういうことだ。

川久保玲は言う。
「最近はネットビジネスも盛んです。しかし私は、店という空間に来ていただき、そこでしか感じられない臨場感を持って服を手にとってもらいたい」(※1)

「(ファストファンションが)どんどん進むと、平等化というか、多様性がなくなり一色になってしまう恐れがある。いいものは人の手や時間、努力が必要なので、どうしても高くなってしまう、効率だけを求めていると、将来的にはいいものが作れなくなってしまいます」(※2)

ショートカット、効率主義を重視し、対話を無視する政治に対抗する一つの手段は、モノの選択と購入というミクロ経済への再認識だとわたしは考えている。





(※1)「インタビュー:川久保玲が語る、ビジネスとクリエーションのバランス」(聞き手=小笠原拓郎) 2015年4月20日掲出、2016年3月23日アクセス http://www.fashionsnap.com/the-posts/2015-04-20/cdg-kawakubo-shop/ 

(※2)「川久保玲さんロングインタビュー ファッションで前に進む」『朝日新聞 DIGITAL』(編集委員・高橋牧子)2012年1月19日掲出、2016年3月23日アクセス http://www.asahi.com/fashion/beauty/TKY201201180360.html 


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◆「脳内探訪」内、川久保玲氏の記事
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/2079.html

http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1697.html



◆いやはや誠にラビリンス COMME des GARÇONSの公式サイト
http://www.comme-des-garcons.com

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◆「脳内探訪」内の三宅一生氏の記事
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1722.html

http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1834.html




◆そういえば、松居エリというファッションデザイナーも気になって仕方がない。
http://www.eri-matsui.com

http://www.kousakusha.co.jp/NEWS/weekly20160322.html




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