平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

佐藤可士和氏と悦子氏が考えるブランディング  2009/11/19

11月19日の深夜から、メーラーの不調でメールが送受信できなくております。特に仕事関係でお急ぎの方は、このサイト「コンタクト」または、携帯電話のメールからご連絡ください。19日の深夜から平野にメールを送信したが返事がないという方も、よろしくお願い致します。
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◆今動いている某プロジェクトについて、ある新聞社から取材を受ける。この新聞社の記者は、プロジェクト・ミーティングにも毎回顔を出し、そのエッセンスを記事に仕立ててくれている。記者魂とはこういう態度そのものをいうのだろう。

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◆Tさんから午後3時頃、4時から佐藤可士和氏の講演があるので顔を出さないかと連絡を頂く(あまりに急なことで、悲しいかなこの時点で既に二つの会議がバッティングしていた。で、何とか調整して会場へ一時間も遅れて滑り込む)。
佐藤可士和の名を知らない人でも、SMAPのCDジャケット、ホンダの「インテグラ」「ステップワゴン」のCM、楽天やユニクロ、国立新美術館のロゴデザインといえば、あぁ、あれね、と頷く方も多いだろう。
きょうは、呉服町(静岡市葵区)という街のブランディングを推進するためのヒントを得ようと、主催者が佐藤氏を招集したのである。
先日わたしは、大学の授業で、佐藤氏の仕事である明治学院大学のブランディングについて話したばかりだったし、昨日は博報堂時代の元同僚Tさんと彼のことを話題にしたばかりだった。タイムリーだ。
会場へ滑り込むと、残念ながら佐藤氏の話はほぼ終わっていて、代わりにベターハーフであり同時にビジネスパートナーでもある佐藤悦子氏の話が始まったところだった。佐藤可士和氏の話を受けて、みごとまでに次々と話が整理されていく。論旨はこうだ。

「サムライ(佐藤氏の会社)が仕事を受けるか受けないかは、クライアントに明確なビジョンがあるかどうかである」

「普通とは、(単にフツーではなく)〈あるべき姿〉である」

「クオリティーは、ディテールに宿るというが、実はクオリティーとはディテールの集積である」

「デザインは付加価値ではなく、〈本質価値〉である」

「ファンション、グルメ、アートなど、単体の価値を全面に出し過ぎても都市のアイデンティティは長続きしない(丸の内三菱地所のエリア・ブランディングの仕事を通して)。が、それでも大事なのは、そのプライオリティをどうつくるかである」

「クオリティ(製品の品質)をブランドマーク化して成功したのが今治タオルである」

「新しいブランドマークが成立・成功しているかは、それ自身がきちんと初期に挙げた問題を解決しているかどうかでチェックする」

「バラバラのものをまとめていく作業がブランディングの強さにつながる」


呉服町という街は、「五福」とか「五感」とか、(今までやってきたCIの)フレームありきで、コンセプトを無理矢理「五」に当てはめていこうとしないことがポイントだとおもう。五つの貌を同時に見せるよりも、佐藤氏が云った、都市の貌にプライオリティをつける作業の方が今は重要なのだ。


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