悲しき・・・ 2009/11/11

クロード・レヴィ=ストロースが亡くなったというのに、なぜ世の中はこんなにも静かなんだろう。わたしは酒井法子については何も語れないが(テレビで彼女を扱った書籍について、ちょっとだけコメントしたけれど)、レヴィ=ストロースの業績なら多少は語る自信がある。
学生時代、『悲しき熱帯』を読み、構造主義という考え方にしびれ、次いで、ポスト構造主義のミシェル・フーコーを読み漁った。分母と分子の関係(構造)をいかに歴史に当てはめていくかという視点と方法をこれら読書を通して彼らに教わった。
わたしの下宿の書棚では、鉄腕アトムの青騎士の巻とダーウィンのミミズの研究書とレヴィ=ストロースの『今日のトーテミスム』と『神話と意味』(共にみすず書房)が肩を並べていた。
何となく、今これを書きながら徐々に思い出してきたけれど、このころわたしはちょうどイマヌエル・カント熱から覚め始めて来たころで、その思索がニュートンを土台としたアプリオリを出発点としていることの限界に気づき、次なるカリスマを探しているときであった。そういうタイミングでわたしはレヴィ=ストロースと出会った。それは仲間の多くがサルトルを崇拝していた時代でもあって、しかし、そのサルトルをレヴィ=ストロースがバッサリと斬り倒した瞬間でもあった。
そのうち雑誌は間違いなくレヴィ=ストロースの特集を組むだろう。それまでにもう一度『悲しき熱帯』を読んでおこう。

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