「勿体ないってなんですか」という中学生KYちゃんの質問にお答えします 2009/11/05

◆久しぶりに中学生の友人KYちゃんからメールが届く。KYちゃんは以前、「対称生の破れってなんですか」と訊いてきた兵(つわもの)である。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1539.html
今回の難問は
「ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんのMottainaiを改めて調べていますが、そもそも、もったいないのもったいって何ですか。辞典を読んでもよくわかりませーん。もったいないが、なぜ 物々しいか・・・とか・・・」(※メール、部分)
本当にちゃんと調べたの? 面倒くさいからひとつ平野に訊いてやれ、なんて思っていない? もー、これ以上仕事を増やさないでちょーだい(と言いつつ、マジメに答える平野)。まあ、辞書よりもうまく説明できる自信はないのですが、わたしなりに書いてみますね。
「もったいない」は「勿体ない」と書きます。「勿」は鋤(すき、土を耕すクワのことね)で土を耕すときにする物音のこと。なんでそんな音を問題にするかといえば、これはどうやら生贄(いけにえ)に関係するようなんですね。神聖なる行事の際にする物音のこと。何か目に見えない神のような存在が訪れた(音連れた)状態なんだとおもいます。だから勿体の意味には、「物々しいさま」 「重々しい様」と書いてありますでしょう。辞書にはそこまで丁寧に書いてありませんが、なぜ「勿(体)」が物々しいかといえばそういうことなんですね。ほら、「物」という字をちゃんと観てください。「勿」が入っていますね。ですから、「もの」という言葉は最初から「物体」「物質」という意味だけには使われません。「物々しい」というときの物はカタチのある物体じゃないでしょう。「もの悲しい」はどうですか。「物の怪」(もののけと読んでね。もののけ姫の、もののけね)というときの物もやっぱりカタチのある物体じゃないでしょう。「勿勿」(ぶつぶつ)と書いて、心がそぞろなことをいいます。うつろなことね。うつろという状態はね、ただ、ぼーっとしているんじゃなくて、何か目に見えない畏怖(いふ)する物が人に取り憑(つ)いていると思われていたんですよ(わからない漢字は調べてね ルビだけはふっておくから)。
それから、勿体の「勿」には最初から「ない」という意味が入っています。ですから、「勿体ない」の「ない」は強調ね。
すなわち、Yちゃんが知りたい勿体ないというのは、ただ物を無駄にしたくないという意味だけじゃなくて、物に取り憑いている存在に対する畏怖なんですよ。どう、わかった? これでいいか、自分でもちゃんと調べて、担任の先生にも聞いてちょうだい。じゃあ、またね〜。
わかったかな〜・・・・(不安)

◆ある作家が冬の季語として、「忍冬」を使っていた(冬忍とも綴る)。忍冬と書いて「スイカズラ」と読む。あれ?子どものころを思い出すと、夏にスイカズラの花を採って蜜を吸ったような・・・と手元にある植物図鑑を眺めると、やはり夏に白い花を付けるとある(「吸葛」とも綴るのは、蜜を吸うことから来ているらしい)。一方で、凍ってつく寒空の下でも葉を落とさないことから、忍冬という字が当てられたとある。そう、小春日和と書いても、春のことではないのと同じである。
◆モーセの十戒に則れば、安息日をとらないわたしは間違いなく死刑である。stray sheepである。仕事仲間が、少しは休んだ方がいいですよ、とやさしい言葉をかけてくれる。ありがたい。なら、この仕事はなかったことに・・・と告げると他の仕事で調整して欲しいと言われる。おいおいおい。それはないでしょう〜。
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