先回りのデザイン + ぬく森 + 北村さゆり + 夜叉ヶ池 2009/11/01




紅葉に鳥は、学生Tさん、Tくんと平野との合作。
金曜日の情報意匠論(静岡大学)は、プロダクト・デザインをモチーフに型をずらすという視点を学生諸君に伝授する。そもそもわたしたちは、経験という型を頼りに未知なるモノやコトに見当を付けていく。そのために、この型が足枷となって、既存のデザインに無自覚になってしまう場合がある。もうこれ以上工夫の余地がないという日用品をいかに、リ・デザインできるかという観察眼が必要なのだ。キーワードは「行動の先まり」と「アフォーダンス」。
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土曜日は、ぬく森プロジェクトのワークショップ第三弾
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/930.html。
参加者のみなさんは、徐々に仲間の顔も見えてきてアイデアが加速してきたようにみえる。ちなみに12月12日(土)には、参加者による世に向けての中間発表がある。
当日は、月刊ソトコト副編集長、別冊ロハスキッズ編集長などを歴任された植月縁さんの「ソトコト流ハジメの一歩」と題した講演もある。一般の方も参加できるので、お時間のある方はぜひどうぞ(詳細は追って)。

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日曜日は、日本画家 北村さゆりさんの個展を見る。
http://kitamurasayuri.jp/
北村さんには、わたしが二年前静岡市から講座を依頼され、それがきっかけでコンタクトをとらせて頂いた。当時は既に、直木賞作家の村松具視さんや宮部みゆきさん、山本兼一さんの本の装幀を担当されていたが、今回拝見すると、その仕事は益々幅を広げていた。同時に、わたしの印象では二年前にはあまり使われていなかった明るい色が目立った。版権の関係で絵にズームアップできないのが残念だが、緻密でいながらのびのびと筆を運んでいるように見える北村さんの作品は、装幀という世界でも最高のパフォーマンスをしているようだ。


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夕方からはSPAC(静岡県舞台芸術センター)の『夜叉ヶ池』(泉鏡花戯曲 宮城聡演出)を観る。
何年か前に玉●郎の『天守物語』の朗読を聞き、期待が大きい分がっかりした思い出があり、鏡花はかなり難しものと決めつけてかかっていた。
実際に難しかった。『夜叉ヶ池』は、もっと妖しくていい。それはスモークを焚く妖しさではなく、もっとシンプルな照明のつくりかたであり、役柄のクセの積み重ねの先にある妖しさだ。そこに特化したらまた違って見えただろう。
だが、もしかすると、わたし自身が「鏡花はそう観るもの」と思い込んでいるのかもしれない。もうい一度素で観てみたくなった。
それにしても、鏡花ほど師匠(尾崎紅葉)を愛し続けられるというのは羨ましくもある。
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