平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

「朗」の月。「朔」の月。  〜菰田玲子さんの朗読など

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テレビ静岡(フジテレビ系列)の菰田玲子さんの朗読を聴く。
朗読の「朗」はなぜ良の字に月なのか。
朗はもともと月明かりが明るいことを言う言葉で、転じて、人のほがらかなことをいう。静朗といえば、天候が晴れわたっていることだし、明朗といえば、明るくほがらかなことである。
まさに菰田玲子の声は明朗で、それでいて甘さが漂う。あやうい月明かりのようなその声に酔うために、みな、わざわざ遠く会場へと足を運ぶ。声を聴くことは観月と似ている。

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http://mt-man.sut-tv.com/reiko/2009/08/post-16.html


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アーティスト森妙子さん企画の「朔月に寄せて」  斉藤徹のコントラバス + ジャン・サスポータス(カサブランカ)と橋本真奈のダンス というコラボに遊ぶ。
「朔月」は、本来「朔」だけでかまわないとおもうけれど、その朔とは陰暦の一日をいう。何かが生まれ、そうしてその先にある死へと向かう循環でもある。

探す、探す、探す、啼く、啼く、啼く、掴む、掴む、掴む、差し込む、差し込む、差し込む、引き抜く、引く抜く、引き抜く、引っ掻く、引っ掻く、引っ掻く、入れ替える、入れ替える、入れ替える、交じる、滲む、振り回す。

この小さな舞台では、音が先行するわけでもなければ、舞が主導権を持つわけでもない。
わずかな光、やわらかい光、生まれ落ちた光、ふわりと降り注ぐ光・・・

それを観る者たちが、わずかずつでも月の明かりを持ち込んでいたら、舞台はさらに「朔太郎の月」になっていたかもしれない。


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