平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

サビン・シタドレェに学ぶ「フェルデンクライス・メソッド」 2009/05/04

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「池田の森」の木にメジロがつくった巣


サビン・シタドレェさん(※プロフィールは最後)が講師を務める「フェルデンクライス メソッド」を体験する。以前からずっと誘って頂いていたが、なにぶん予定が全く立たず、ずっと先延ばしになっていた。

ところで、わたしたちは日常生活の中で、自分の身体の細部をいったいどのくらい意識しながら暮らしているだろう。例えば、耳の穴の大きさ、喉の奥や口腔の広さ、肋骨の広がり、頭の頂部、背中のくぼみ・・・
以前この場にも書いたけれど、普段何も意識してない足の裏も、靴の中に小さな石ころ一粒入っただけで途端にその感覚にスイッチが入る。これは足の裏には予備電源が入っていることを意味する。それが砂粒一つ、靴の中に入っただけで瞬時にスイッチがオンになる。常にスイッチが入りっぱなしでは、数メートル歩いただけで、足の裏から入ってくる膨大な情報で脳のメモリーはすぐにいっぱいになってしまうだろう。

きょうのエクササイズは、すべて仰向けになったままで行われた。時間は一時間ちょっと。とにかく、サビンに促されるままに、小さく小さく動くのである。ミリ単位を意識しながら動く。物足りないぐらい、小さく小さく背中や腰骨を動かしていく。小さく動くことで、身体の細部がどのように動いているか、どことどこが連携し合っているかを意識するのだ。日常生活の中で、わたしたちの動きはついつい雑になる。雑になることで、身体の動きがバラバラになる。バラバラになると身体はゆがみ、ひずみ、コリ、バランスを失い、やがて悲鳴を上げながら崩壊へと向かう。
これらを克服し、身体の機能を統合させるためのメソッド、それがフェルデンクライスなのだ。ちなみにフェルデンクライスとはこの方法の創始者モーシェ・フェルデンクライス博士の名からとっている。

○フェルデンクライス メソッド公式サイト
http://j-felden.org/modules/tinyd0/index.php?id=2

移動距離は、ほぼゼロ。その場で小さく、小さく、細かく、細かく連続して動く。すると、普段意識しない身体の細部が「わたしの一部」であることを徐々に意識できるようになっていく。背中、腰、脹ら脛、あちこちが痛い。だがそれはひじょうに心地のよい痛さである。

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会場となった「池田の森環境計画工房(有限会社 池田の森ランドスケープ)」の漆畑さんご夫妻は、環境というキーワードでおおくの活動をされている。NPO法人 富士の国・学校ビオトープ http://www.omnh.net/dantai/print.cgi?ID=134
もそのひとつだ。
事務局の鈴木芳徳さんともお会いしたが、名刺に描かれているダンゴムシの話しをうかがったら、途端に彼の目は子どものようにキラキラと輝きだした(鈴木さんの名刺にはダンゴムシが描かれ、そこには「土の中のいきものさがし」と書かれている)。

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メインの通りから奧に入っていくと、そこには心地よい空間が広がる。
○エコロジー団地 池田の森
http://www.ikedanomori.com/
13.000㎡の団地の中心には300坪の農園があり、その周りには35戸の戸建て住宅やオフィス・アトリエ棟、ベーカリーカフェ、セレクトショップなどがある。伺ったときには、団地の住人が、ちょうど畑の様子を見に来ていた。
実はある学生とこの場で待ち合わせをしたのだが、この施設があまりにも周りの自然と調和しすぎているために、自転車でのんびりと走っていたにもかかわらず、通り過ぎてしまった。

○併設の池田の森ベーカリーカフェ
http://www.ikedanomori.com/cafe/


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【講師のSabine Stadler(サビン・シタドレェ)プロフィール】   
スイス出身。高校時代(1994年)に初来日。2002年ジュネーヴ大学卒業。2003年再来日。2005年地唄舞の名取り取得。 2006年1月にフェルデンクライス®・プロフェッショナル・トレーニングに入学。2008年3月にATMインストラクター資格取得。現在東京大学博士課程在学中。フェルデンクライス®・プロフェッショナル・トレーニング・ビール(FTB)にて技術を深めている。


【Sabine STADLER 研究テーマ】
○上方舞の研究を、主として次の三つの方面から研究している。歴史的研究、つまり、現代を通じての伝統芸能としての上方舞の成立と発展の研究。文学的研究、すなわち上方舞の伴奏曲(主として地歌と上方歌)の歌詞の研究。身体論的研究、一方では実技を通じて上方舞における身体表現を研究し、他方ではフェルデンクライス・メソッドの理論に上方舞の身体を考察するもう一つの方法論を求めている。
○修士論文: 『上方舞分析試論』
○主な活動・論文:
・「明治末期の東京における上方舞普及の試みー田中正平と山村らく」舞踊学会第8回定例研究会 口頭発表、2006年6月
・芸術大学楽理科における〈家庭踊〉(明治・大正年代の日本舞踊を基にした社交ダンス)復興に協力(舞踊の方面 で指導)、2006年10月〜12月
・東京で神崎流を学ぶ
・東京大学日本舞踊研究で日本 舞踊を学ぶ(指導花柳昌三郎)
・ひでお世弥にて能を学ぶ(観世榮夫)
・西洋で日本舞踊を紹介することに携わる(西洋の舞踊公演の解説、花柳千代「日本舞踊の基礎」を用いる教育方法の研修他)
・フェルデンクライス・メゾッド のプロフェショナル・トレーニングを受講
・日本舞踊学会会員
・FGNA (FELDENKRAIS GUILD(R) of North America)会員

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自宅に戻ったら、親戚から大漁のお裾分けがあった。こいつは“愛でタイ”


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