平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

デザイナーTさん宅に、早来迎! 〜ものづくりに関わるみなさんが集結 2008/12/24

追記:文中に登場するデザイナーTさんとは、823 designの利根川初美さんです。

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遠藤澄子さんプロデュースの一部


デザイナーTさん宅に早来迎。
都市設計のデザイナー、環境デザイナー、Tさん宅を設計した建築家やグラフィックデザイナー、コピーライター、編集者、立体造形のデザイナー、インダストリアル・デザイナー、和をテーマに製品開発をされているデザイナーなどの集まりである。
大人たちに交じって、Tさんたちのお子様やその友達も大勢同じ空間にいるが何の違和感もない。理由の一つは、建築空間がそうさせている。まるで「体育館」のような造りである。子どもは子どもなりに大人との距離をはかり、タイミングをみて話題に加わってくる。子どもというのは、そうやって徐々に大人社会への仲間入りを果たすのだろう。


さて参加者は、亭主とその仲間が腕に縒りを掛けてつくった料理に舌鼓を打ち、ほろ酔い気分で話題がぐっと膨らみ、そうして呼吸をはかって席を移動し、何となく互いの距離が縮まっていく。いきなり不躾に名刺を差し出す異業種交流会とは違って、大変心地がよい。形骸化された異業種交流やその類の勉強会で良い関係が続いている例をわたしはほとんど知らない(もっとも、そういう場所には足を運ばないので、わたしが知らないだけかもしれない)。

参加メンバーの紹介をしよう(申し訳ないけれど、時間の関係で全員はできない)。
和をテーマに作品をつくっている遠藤澄子さん(「なのかデザイン」主宰)http://www.nanocadesign.com/の作品群はすべて一点一点が手作りで、ひじょうに繊細なラインを創り出すことに成功している。遠藤さんはこれからもっと評価されていいデザイナーだ。わたしはこういったラインナップをみると、すぐに自分ならこういったアイテムを増やしたいというアイデアが浮かんでくる。ポイントは、「商品を単体で考えない」ということ。「取り合わせ」「組み合わせ」「重ね合わせ」が日本人がつくってきた最高の「型」なのだ。遠藤さんは同じ和を扱うデザイナーでも、以前わたしがNIKI GALLERY册(東京・九段下)でご一緒させて頂いたミヤケマイさん(この人の日本は深い。そうして軽やかだ)http://www.maimiyake.com/とは確実にちがったトーンを持っている。いずれにしろ、こういった若手のデザイナーの登場は本当に心強い。

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写真はミヤケマイさんの作品

その遠藤さんがお連れになったアクリル素材を自在に操るインダストリアル・デザイナー テラダシュンスケさん http://www.air-frame.com/
のお仕事がまた秀逸だ。彼がつくっているアクリル製の名刺ケースの美しさにわたしは一瞬で心を奪われた(別れ際だったので写真を撮らせてもらっていない)。華奢で繊細でけっして存在を主張しないそのケースは、開け方に実に巧妙な仕掛がある(といっても、別にからくり箱ではない)。ボディサイドに指をかけて(「指を置いて」の方が適切な表現かもしれない)中を引き出すように働きかける。引き出すのにほとんど力はいらない。そっとボディサイドに掛けた指は、自然と優雅に振る舞うような仕掛になっている。指先が「引き出すという行為によって優雅に動くようにデザインされている」のである。わたしのようながさつに動く指先も、小さな箱の上で舞う一羽の蝶のように見えるから不思議である。ひと言で云えば「色っぽい名刺ケース」。

アトリエサンゴさんhttp://sango.exblog.jp/
(お二人のユニット)の作品は、特に静岡市にお住まいの方なら「あー、あれね〜」という作品が本当におおい。静岡市文化振興財団発行の『まちかど』の表紙、大道芸ワールドカップのワークショップにおけるリーフレットなどが彼らの作品である。「手を抜きたくないので、時間ばかりかかってしょうがない」とサンゴさんは嘆く。サンゴさんとは少林寺拳法と空手の話でも盛り上がる。

sango

雑誌『BUSINESS VEGA』のチーフエディター石垣さんは詩人でもある。実際お名前も「詩野(うたの)さん」という(おひさしぶりです)。石垣さんとは最近の『VEGA』の表紙写真、その「なんとも言えないサイズと構図」について話をする。カメラマンの独創性とそれを採用する編集者の肝っ玉に拍手。誤解しないで欲しい。わたしは心底「感心している」のである。普通「こんなタイミング」でシャッターを切るカメラマンはほとんどいない。その写真のせいだろう、書店の店頭で目について困っている(笑)。石垣さんとは、話が尽きないが、いれずまたそのうちに。

vega

主催者Tさんのパートナーの独創的な視点にも感心する(何者だっ!!)。他にもこの場で紹介したいゲストがいっぱいだ。Nさん、Tさん、Kさん、Iさん、ご紹介は次回に。話はさんざん盛り上がり、夜も更けて、すっかりリフレッシュさせて頂いた平野であった。
それにしても、こういった特異な人材を「わたしの人脈」などとこれっぽっちも思っていないTさんは、やっぱりいつお会いしてもいい感じ、素敵な人だ。

今年もまだまだ締め切りで、いっぱい。
仕事場の大掃除? 年賀状? なんですか、それ。

上記とは関係ない追記: 
過日、学生たち二組と打合せの際、いい気になってレストランやギャラリーの入場料を散々振る舞った。いざ、駐車場に行ったら、47円足りなくて自動車が出庫できませんでした。ひや〜 後続車が次々とついてしまって、あら大変。周辺に銀行は見あたらないし・・・コンビニに走って事なきを得ました。とほほほほ。

追記2
きょう、わずかな時間を見つけて銀行のATMに記帳に出掛けました。戻ってきて確認したら、なぜか記帳されていませんでした。何しに行ってきたの? どこかの組織が世界的な規模で平野雅彦を陥れようとしているに決まっている(汗)


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