平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

講演 その1

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講座の講師をすることが多い。その中で簡単なエクササイズをお願いすることがある。必ずそういった場面で「なんでおれがそんなことをやらなければならないのか」といった顔つきでぎゅっと腕組みをしている人がいる。心までぎゅっと閉じている空気がはっきりと伝わってくる。いっかな心を開く様子もない。周りが楽しんでいればいるほど、心を閉ざす。どうやら勝手にプライドを深く傷付けられた思い込んでいるようだ。
一方で会社のトップは、常に笑いながらワークショップに参加してくる。それどころか次の課題は未だかと挙踵する。わっはっはっはっと豪快豪傑である。これはほとんど決まってこの傾向である。
役職でいえば、その下あたりに控えるひとたちがいけない。わたしは、さらりと声をかけるが敢えて打擲(ちょうちゃく)しない。そうするのはその人の勝手である。でもこういう人は、学ぶチャンスを自ら逃している。他でもきっとそうに違いない。
さらに問題なのは、こういった人たちが例えばボランティアの現場に大量に参加しはじめていることだ。事実、きょうもある人が耳打ちをしてきて曰く。「元某大会社の重役が、○○ボランティアの現場で総スカンを食っている」。原因は同じである。人の話を聞こうとしない。人の命令など聞きたくない。プライドが許さない。おれのやり方で大会社という組織が動き、社員何百人、そのまた眷属、一家一門を含めると何千人もの腹を充たしてきた。その陣頭指揮を執ってきたおれ様の実力だ、さあ、おまえらも従え!おれ様の股肱としてやろう!と、こうだ。
誰もがこういった話を我がこととは思わない。それは数千キロも離れた某国の何某かの話となる。
 

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