平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

音連庵ツアー  2018/02/07

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芸術祭「かけがわ茶エンナーレ」(2017.10.21〜11.19)で、高天神城下池を舞台に「音連庵」という作品展示をしていた大橋史人さんが企画され、現地でのツアーが行われた。

音連庵は、掛川市に多数点在する溜池が企画発想のベースとなっている。わたしは、この芸術祭のエリアディレクターを引き受けるなかで、市内の溜池をいくつも周り、もはやここしかない、この池を使って展示を行いたいと強く確信を得て、大橋さんにお願いをした経緯がある。

そこで大橋さんが用意されたのが音連庵である。「庵」といっても、茶室ではないし、寄付でもない。待合でもなければ、橋懸かりでもない。もちろん単に通過する空間ではないし、椅子でもないし、ましてや鳥居でもない。いや、実のところそのどれでもある、というのが音連庵なのである。この音連庵は、会期中に大変評判を呼び、会期が終了してからも引き続き展示を行って欲しいという市民からの要望もあり、今年の2月の半ばまで延長して展示を行ってきた。

ツアー当日は、天候にも恵まれ、大勢の方に参加頂いた。
約1時間半の滞在中、みんなで10分間の沈黙の時間を設けた。
かすかに水面が揺れる音、上空を渡っていく鳥の鳴き声、山を覆う木々や池の縁の草木が重層的に音を奏でる。日陰の中に佇む参加者の背中をやさしく温める陽の光・・・古の人々は、この風景に神々の音連れを感じたのであろう。
その音連庵は、間もなく自然の音のひとつのように跡形もなく消えていく。ただし、目の前に広がる下池の前に佇めば、いつでもその「おもかげ」は立ち上がる。影向(ようごう)・・・音連庵の来臨である。


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※写真の一部は、当日の参加者が撮ってくださったものです。

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