平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

今年後半の振り返り  2017/12/31

cha63


◆文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業「静岡大学 アートマネジメント人材育成のためのワークショップ100」では、他では味わえないユニークな試みが多い。

図書館機能を使ったアートプロジェクトに取り組んだり、宇宙服を着てアートフェスの案内役を買って出たり、コンテナのなかで茶会をしたり、偶然性のなかで俳句を詠んだり、世界を計る新たな試みに挑戦したり、七十跳びの縄跳びにプレイヤーに挑んだり、ショートフィルムづくりをしたり、プロレスのマスクづくり職人の技を盗んで「わたし」のマスクを創ったり、パークマネジメントで知恵を絞ったり、SNSを使った広報に取り組んだり、ジェンダーをテーマに即興演劇を創ったり、演劇と茶道のカラダの使い方を比較したり、世界的に活躍する音楽家を招いてホールにおける音響について体験したり、サイトスペスフィックな条件下で演奏したり、クラウドファンディングに取り組んで商店街を舞台にダンスをしたり、と実に様々である。それぞれの講師の方法をたっぷりと味わえる立場におり、仕掛け人のわたしがいちばん学んでいるともいえる。

以下、感謝込めて本取り組みの講師陣を挙げておく(敬称略)。

・会津里香(ミュージシャン NPOGID元代表)
・アサダワタル(文化活動家・アーティスト)
・アンサンブル・ラロ(ピアノ四重奏団)
・井上明彦(美術家、京都市立芸術大学美術学部教授 造形計画)
・岩下徹(山海塾 舞踏家)
・岩橋由莉(表現教育家)
・ウィフィリド・ゴンザレス(美術家)
・上田假奈代(詩人・詩業家)
・漆畑勇司(美術家)
・円城塔(小説家)
・大滝正明(デザイナー、アーティスト)
・粕尾将一(縄跳びパフォーマー)
・神谷淳(プロレスマスク専門店PUKUPUKU工房 プロレスマスク職人)
・衣川絵里子(神戸市立灘区民ホール ディレクター イーブンイフ ディレクター)
・木村哲(音響エンジニア)
・佐藤剛史(伽藍博物堂代表/ストリートフェスティバル・イン・イズオカ実行委員会会長)
・澤西祐典(小説家)
・福島昌子(資生堂アートハウス学芸員)
・大木(資生堂マネージャー)
・セレノグラフィカ(ダンスカンパニー)
・高岡基(劇団らせん劇場代表)
・高野奈未(静岡大学教育学領域准教授)
・渡村マイ(一般社団法人SACLABO代表)
・豊田高広(愛知県立田原市中央図書館館長)
・中島一彦(静岡市観光交流文化局長)
・中野純(体験作家/闇歩きガイド)
・中村香奈子(横笛奏者)
・中村ともえ(静岡大学教育学領域准教授)
・野村誠(作曲家/日本センチュリー交響楽団プログラムディレクター)
・平川渚(美術作家)
・福永信(小説家)
・松浦茂樹(スマートニュース株式会社メディアコミュニケーションディレクター)
・宮城嶋遙加(SPAC所属俳優)
・宮崎刀史紀(公財・京都市音楽芸術文化振興財団ロームシアター管理課長)
・山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事/アーティスト)
・山本和子(呉服屋 NPO法人掛川の現代美術研究会 代表)
・山本起也(京都造形芸術大学映画学科長 日本映画監督協会常務理事)
・山本麻友美(京都芸術センター チーフ・プログラム・ディレクター)
・横山央(SPAC俳優)
・吉野さつき(愛知大学文学部現代文化コースメディア芸術専攻 准教授)
・白井嘉尚(静岡大学教育学領域教授)
・井原麗奈(静岡大学地域創造学環准教授)
・平野雅彦(静岡大学 教育学部 特任教授/人文社会科学部 客員教授)



◆10月、11月と掛川市で行われた芸術祭でエリアディレクターを任されため、5月から静岡、掛川間を40回近く往復した。その甲斐あって場所によっては、地元の人よりも地元の様子に詳しくなった。一方で、「地域との関係づくり」と簡単に言ってみたものの、こんな短い間に信頼関係などできるはずもない。今回の経験を通して、「定住人口」でもなく、「交流人口」でもない、「関係人口」について考えた。



◆今年の後半は、例年にも増して忙殺される中、東海道五十三次丸子の宿・丁字屋とろろ寄席で腹が引きちぎれるほど大笑いし、声楽家の八木香那永さんのチャペルコンサートで心が洗われ、マスダカルシさんの個展で愉快を手に入れ、静岡音楽館AOIの各種コンサートに出向き、SPAC(静岡県舞台芸術センター)でも何本かの演劇を鑑賞した。資生堂アートハウスの学芸員の熱量に痺れ、建築やデザインの展覧会にも出掛けて刺激を受けた。今更だがCOMME des GARÇONSの川久保玲には何度も心臓を射貫かれた。
机の前にいることも多かったが、短い足のコンパスを思い切りのばし、時間の許す限り高知、山形、宮城、大阪、京都と各地を飛び回って各界で活躍する人々や場所に刺激をもらった(このところ毎年必ず海外の話を持ちかけてくれるIさんやMさん、今年も叶わずすみませんでした)。人との出会いという意味では、地元静岡でセンター長をしている「ふじのくに文化情報センター」でのいくつかの試み(「こかげのまなびば」「フォーラム」「文化講座」「相談窓口」等)によるところも大きい(スタッフの皆さんに感謝)。各種審査への参加も例年より多かった(川柳の審査ならまだ合点もいくが、ラジオDJの審査などは異彩だった)。とにもかくにも大量の読む、打つの「書類」に追われ、読書の幅はたいして広がらなかったが、それでも興味の赴くままに数百冊には目を通せたであろう(そのせいか、部屋は相変わらず散らかったままである)。まったく専門ではない写真のコンクールにおいて二度目の受賞もうれしかった。そうそう、食事のコントロール?とジム通いで体脂肪率を23%から8%まで絞りに絞った(現在は10%前後を推移。ここでも研究者の論文が役立った)。これが果たして健康にいいのかわからないが(笑)、ワークアウトは完全にひとつの習慣となった。そうして、個人的には、Iさんに始終世話を掛けまくった(すみません(>_<))。

「来年こそは、もっと余裕をもってやります!」と毎年言い続けることウン十年、まったくそうなったためしがないので、そんな戯言はもうやめにする(事実、大学の授業でさえ、既に10に近いプロジェクトが動き出している)。この場では「これまで以上にがんばります!」とだけ言っておく。年寄りほど働け、とは誰の箴言かは知らないが、実にうまいことを言ったものだ。

皆様、来年もどうぞよろしくお願いいたします。



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