平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

「ZOO MORA(ズーモラ)」に行って来た   2017/07/27

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知人のデザイナーから、「ZOO MORA(ズーモラ)」という期間限定のショップを静岡の駅ビルで行うので覗いてみて欲しい、という案内を頂いた。
頂いたカタログを見ると、「障害のある人の係わるユーモラスな商品を集めたポップアップショップ開催!」とある。
これは元々、授産所とデザイナーが組んで商品開発を行った「HUMORA(ユーモラ)」というブランドがあって、その中から動物関連のグッズを集めた販売企画であって、「HUMORA」を文字って「ZOO MORA(ズーモラ)」とネーミングしているのである。つまり、「HUMORA」が期間限定で「ZOO MORA」と看板を掛け替えているのだ。冒頭に掲載したイベントタイトル画像「HUMORA」の文字に上書きされているイエローの文字にはそういう意味があったのだ(この理解でよろしいでしょうか、前川さん。この場をご覧になっていないと思いますが)。

前置きが長くなりました。
で、さっそく「ZOO MORA」に行ってみた。

とにかく売り場は愉快な商品であふれかえっていた。あれもこれもきちっと「商品」として、仕上がっていた。つまり、欲しい物がたくさんあった。ものづくりの現場にデザイナーという存在が入ると、これほどまでに物に力が宿るものかと、当たり前のことを強く再認識させられた。もちろん、人の創り出すものはそれだけである種のエネルギーを発する。それは承知だが、一方でいい物だからといって、それが必ずしも人の目にとまるかといえばそうでもない。物を動かすためには作り手と受け手の間に入り、「価値の翻訳」をする存在が必要となる。それがデザイナーである。ものづくりの現場においてこの存在は大きい。
もう一点、肝になるのがこれらの商品を手作り市やクラフトフェスのような場で販売するのではなく、デパート系にこだわって出展している点だ。これら標品をどんな人たちに手にとって欲しいか、その人たちはどこに来るのか。近所の金物屋さんではタワシがまったく売れないが、まったく同じタワシがデパートの催事では飛ぶように売れたりもする。この違いをきちんと読んだ販売戦略だ。

アートディレクターの河北秀也は、「どうしたらもっと幸せになれるか、それを考えるのがデザイン」と言ったが、まさにこの取り組みでは、作り手も受け手も、みんなが幸せになれる、そんな質の高い商品に仕上がっていた。

会場に行って、初めて理解できたのは、「ZOO MORA」は、出展の一ブランドであり、他の授産所でつくられたブランドが所狭しと並んでいた。

またこの催しは、企画全体を社会福祉法人わたぼうしの会がコーディネートしており(「たんぽぽの家」でご存じの方も多いのでは)、当日はこの組織が運営しているGood Job Center 企画営業ディレクター中谷さんが番頭をされていた。
http://tanpoponoye.org/wataboshi/


わたしは、「ZOO MORA」のTシャツと「松田聖子(西淡路希望の家 くにちゃんブローチ)」(写真 ↓ )を手に入れた。大満足。

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(↓)参考文献:森下静香 他『ソーシャルアート:障害のある人とアートで社会を変える』(学芸出版社,2016)

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