平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

寂しい生活   2017/07/20

sari




稲垣えみ子『寂しい生活』(東洋経済、2017)に衝撃を受ける。稲垣さんは、もはや鳥の巣状態のアフロヘアの人で、何度かテレビ番組「報道ステーション」で的を射たコメントをしているのを見て、とても気になる存在だった。

本書には、3・11の原発事故をきっかけに、家の中のものを一つ一つ手放していく過程が詳らかに綴られている。一言でいってしまえば、「奪い合えば足りない、分け合えば余る」という沖縄の言い伝えを実践した本であり、けっして、断捨離、ミニマリスト賛歌の本ではない。

以下、本書関連の『BUSINESS INSIDER JAPAN』インタビュー 「モノを手放したら不安が消えた——家電製品もガス台もなくなったら快適で幸せな日々が待っていた」より(https://www.businessinsider.jp/post-34890   2017.7.17アクセス)

「私はモノを手放していく生活を体験して、自分が何でもかんでも手に入れようとしなくてもいいんだと感じることができるようになりました。暮らしのサイズが、自分でコントロールできる範囲に収まっているとすごく快適です。むしろ自分に必要なモノがそれほどないんだとわかった分、収入が減っても余裕は増えた。そうなると、余ったモノやお金を人にあげたいと思うようになったんです。利己的でケチな私がこんな「いい人」になっちゃって(笑)、自分が一番驚いているんですが。」


「よく単にお金を使わない人と勘違いされるんですが、そうではなくて、っていうか確かに自分のためにはお金は使わないけれど、でもその分、自分を助けてくれる人、自分にとって大切な人たちのためにはお金を使いたいと思っているんです。例えば1円でも安く買うとか送料無料とか、自分は確かに得するんだけど、その裏で絶対に誰か損しているわけですよね。そういう「自分だけが得すればいい」みたいな行動をとっていると、いつのまにか自分の周りは敵だらけになってしまう。それって地獄です。豊かさを求めたはずが、気がつけば反対の結果になってしまう。
でも、いろいろなものを自分で抱え込まずに人に与えていくと、周りも得するから私を大事にしてくれるし、友達も増えるし。みんなが良くなれば、結局自分も良くなるんですよね」


「私自身も心がけていることですが、「相手が喜ぶことは何かを考えること」じゃないでしょうか? 最近良く思うんですが、人は自分を幸せにすることはできないけれど、他人を幸せにすることはできる。例えば買い物をしてそのお店の人が親切にしてくれたら、その次に近くを通った時に、ちょっと立ち寄って、「この前買ったやつ、すごくよかったですよ」とお店の人に伝えたら、もうめちゃくちゃ喜ばれますよ。もうその人はあなたの友達です(笑)。その他なんだっていい。メールをもらったら相手が喜ぶような一言を返信するとか。すれ違う人とは目を合わせてニッコリするとか。そんなことなら、ちょっと努力すれば私だってできる。そうするとですね、これは実際に体験しているので、自信を持って言えるんですが、結局自分に幸せが返ってくるんです。つまりは自分を取り巻くみんなが明るくなって、私にも優しくしてくれる。これこそを幸せというんじゃないかと。 お金じゃなくても、言葉一つ、笑顔一つで本当に世界が変わる。」



ところで、こんなポジティブに考える稲垣さんの本書が、なぜ「寂しい生活」なのかって?
この感覚こそが、彼女の生き方の本質であり、他の断捨離本との大きな違いなのだ。ぜひ、本書を。



◆シャツを4枚染め直しに出した。ジャケット1着の袖、シャツ5枚の袖と襟を縫い直してもらい、パンツ2枚の裾丈を直してもらった。まだまだ着られる。気に入ったものは長く着る。
自分でも直したいと思っているのだが、なかなかミシンに向かうまでの時間はない。



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