平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

聖書図書館の閉館  2017/07/11

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東京・銀座にある日本で唯一の聖書の専門図書館が閉館するときいて、まったく予習もなく、銀座に出たついでに立ち寄った(閉館は2017年6月30日)。

閉館ということもあるのかもしれないが、狭い館内は大勢の人であふれかえっていた。わたしのようにクリスチャンではない物見遊山の人々も多少混じっていたのかもしれない。

提示物でいきなり目を引いたのは、日本最古の木版印刷『約翰福音之傳』(1837)、ヨハネによる福音書である。ドイツ人宣教師ギュツラフがマカオで翻訳したものだとキャプションは教える。世界に16冊しか発見されていないらしい貴重書。木版の刷りが、実に柔らかく美しい。書き出しの一行は、現在、広く知られているものとは違っていて、こう始まる。

「ハジマリニ カシコイモノゴザル。コノカシコイモノノ ゴクラクトモニゴザル。コノカシコイモノハゴクラク」

https://www.bible.or.jp/contents/library/lib03_27.html


◎聖書図書館公式サイト
http://www.bible.or.jp/library.html

改めて、サイトを拝見すると、グーテンベルク聖書(複製)や死海写本(羊皮紙複製)まで収蔵されているではないか。収集品は、ラテン語から部族語まで約530言語、5100冊だとある。
もっぱらわたしの興味は、物語としての聖書、ブックデザイン、タイポグラフィーからみる聖書だが、いつかこの視点で聖書を整理してみたい。が、そのような時間は今のわたしには皆無である。

司書に伺ったところ、これらのコレクションの多くは今後開館する青山学院大学の図書館い寄贈されるという。きっと研究者を優先に、そのうち公開されることになるだろう。



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