平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

チャイコフスキーやらシャンパンやらタケノコごはんやら  2016/09/22




◆グランシップ(静岡市)で、「広上淳一×五嶋みどり×京都市交響楽団~京都市交響楽団60周年記念~」を聴く。
今年度のグランシップは、特に音楽系の催しがいい(『音楽の広場』も全体がきゅっとしまっていて、え、もう終わってしまうの、とがっかりした記憶も新しい)。
昨年「サントリー音楽賞」を受賞した、今最も勢いのあるオーケストラ・京響が創立されて今年で60周年となる。そのツアーのスタートがこのグランシップというわけだ。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調に久しぶりに聴き入った。秋といえば、わたしのなかでは、なんといってもチャイコフスキーなのである。秋が、チャイコフスキーを連れてきた、というわけだ。



【データ】
第一部のアンコールは、五嶋みどりさんの、J.S.バッハ「パルティータ第3番」よりプレリュード、第2部のアンコール、武満徹「3つの映画音楽から」No.3「他人の顔」ワルツで大満足。

 広上淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
 五嶋みどり(ヴァイオリン)
 曲目等:モーツァルト:歌劇「後宮からの逃走」序曲
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.35
 リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op.35


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◆フランス シャンパーニュ地方 ランス。ヨーロッパの美術史をやっていれば必ず古都ランスの名は登場する。開幕式のなかで田中館長も話されていたが、ランスは日本でいえば京都である。五世紀以来、歴代のフランス王が戴冠式を行ってきた街で、そこに美術館ができたのは1913年のことである。

静岡市美術館で『ランス美術館展』を観る。
ゴーギャンの薔薇が独自のグリーンで世界を覆っていてつい見とれてしまった。またランス美術館は、晩年をこの地で過ごしたレオナール・フジタ(藤田嗣治)のコレクションでも有名だ。今回はそのフジタが70点もまとまって観られるチャンスである。とにかく下絵一枚の力に圧倒されるだろう。会場をひとまわりしてシャンパンが飲みたくなってしまった人も多いに違いない。藤田とシャンパンの関係を知ってしまったらなおさらだ。

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◆絵本画家・伊藤秀男『タケノコごはん』(ポプラ社)と『ガチャガチャ』(福音館書店)という二冊の絵本原画を観る(於・飛ぶ魚)。わたしはこれまで伊藤作品をほぼすべて読んで来たが、なぜか代表作である『タケノコごはん』(ポプラ社)だけは、手に取るチャンスを逃してきた。そんななか、今回は、伊藤さんの話も直接聴けるいい機会となった。

『タケノコごはん』は、物語を映画監督の大島渚氏が書き、絵を伊藤さんが担当された。そもそもなぜこの絵本の画を描くことになったのかという大島渚家との関係や画を描くために取材をされた京都の小学校や農家のことが作品にどう反映されているかを知る貴重な機会となったが、それと同じぐらい木訥として話される伊藤さんの人柄が印象に残った。トークのあとに、直接お話をさせて頂いたことで、その印象はさらに強くなった。
物語は、(多少の脚色はあったとしても)きっと大島渚氏の戦争体験談に違いない。伊藤さんによって描かれた主人公さかいくんの教室での後ろ姿、タケノコごはんを頬張りながらの大粒の涙を流すさかいくん、戦争に行かねばならなくなった先生の表情、それでもなお実家の庭に美しく咲き誇る花々、その対比が胸を打つ。

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◆昨年度の授業は授業としては既に終わっているけれど、学生たちがずっと地域に入ってがんばっている。この活動は、きっと大きな流れに繋がっていくだろう。

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◆現代書家 大杉弘子の個展「ME DE CHANGER 移りゆくわたし」(於・掛川二ノ丸美術館)&出版記念パーティにお邪魔した。大杉さんは、漢文学者の白川静氏に私淑して、甲骨文字から現代書までを自由に往還する人である。


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◆最初から人の財布を当てにする人間は、一生そういう生き方をするだろう。まずは、自分で汗水流して稼ぐべきだろう。それを見て人は共感を覚えるものである。ショートカットして手に入れた夢にわたしは共感を覚えない。



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