平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

鹿目尚志さんの仕事   2016/03/20

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パッケージデザイナーとして常に時代の一線で活躍、数々の賞を受賞されてきた鹿目尚志(かのめ・たかし)さんが、福音館書店から2冊目絵本『ポッキーとトム』(こどものとも360、2016年3月)を上梓された。その原画展を中心とした『鹿目尚志あれもこれも展』が湯河原のギャラリー・飛ぶ魚で開催中である。

『ポッキーとトム』は、根室に生まれ育った鹿目さんの自伝的物語だ。
「少年トムは、たろじいちゃんが飼っている馬の産んだ子馬が、かわいくてたまりません。毎日子馬のあとをついてまわり、ついにはずっと子馬と一緒にいようと連れて帰ることを試みます。しかし、そう簡単にはいかず……。少し昔の北海道が舞台の、実体験をもとにしたお話。少年の馬への熱い思いとそれが変化するさまを、のびやかな線で表現します。」(福音館書店サイトより)

先日行われた記念のトークイベントでは、うさぎにコブタ、野鳥にカエル、鹿目さんが幼少のころふれあってきた動物たちとの想い出が匂いや感触を伴って、物語と次々と交錯する。話は、中学、高校、大学、就職と途切れることなく続き、約束の時間が来てもいっこうにおわる気配はない。いよいよ飛ぶ魚の作田真知子さんが止めに入って一旦話は終わったが、わたしは、もっと、ずっと、いつまでも、聞いていたかった。ひとりの人間が世の中に与えた影響は、想像を超えてずっと大きい。

◆ 鹿目尚志さんの原画は、現在、「飛ぶ魚」で見ることができる。
会期は、3月11日(金)〜4月16日(土)。なお、会期中、毎週 金曜日と土曜日のみ営業。時間は、AM11:30~PM5:00 なので注意。

http://tobusakana.jimdo.com





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何度も何度も描き直され、物語はこどもたちのもとへ届けられる。

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( ↓ )『まけてたまるか ヨモトラと7ひきのコブタたち』(福音館書店,1995年)

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齢89歳の鹿目尚志さんの力の源は、創造活動によって生まれているに違いない。

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( ↓ )鹿目さんのお仕事のほんの一部。

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飛ぶ魚のある湯河原はすっかり春の気配に包まれていた。

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◆鹿目尚志氏 プロフィール
1927年 北海道生まれ。1950年 東京美術学校(現・東京藝術大学) 油絵科卒
〈代表作〉
資生堂「スーパーマイルド(1988)」、「肌水」、福寿園京都本店ブランディング計画、ミツカン飲料酢シリーズブランド計画、ニッカブランデー V.S.O.P.他多数

〈受賞歴〉
1987年 北海道立旭川美術館「遊びの木箱展」 優秀賞
1989年 年鑑日本のパッケージデザイン 特賞
1989年 ジャパンパッケージングコンペティション 通商産業大臣賞
1995年 (社)日本パッケージデザイン協会 パーソンオブザイヤー賞
2001年 日本パッケージデザイン大賞展 特別賞
2009年 日本パッケージデザイン大賞展 金賞
2009年 Pentawards Worldwide Packaging Design Competition SILVER AWARD
2012年 (社)日本パッケージデザイン協会 パッケージデザイン功績賞
2014年 第3回全広連日本宣伝賞 山名賞  他多数




※本ページ内の写真をお使いになる場合には、改めて鹿目さんご本人の許可が必要となります。ご注意ください。




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