平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

片付かない  2015/12/31

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まったく物事が片付かない。毎年同じようなことを言っているような気もするが、今年はとくにひどすぎる。年をまたいでやることが膨大過ぎる(とにかく痩せている暇がない)。

原稿を打ちつつ、ふと『徒然草』を思い出して手に取った。

賤しげなるもの、居たるあたりに調度の多き。硯に筆の多き。持仏堂に仏の多き。前栽に石・草木の多き。家の中に子孫の多き。人にあひて詞の多き。願文に作善多き書き載せたる。
 多くて見苦しかからぬは、文庫の文。塵塚の塵。(七二段)


まあ、書物の片付かないのは許してほしい。


ついでに書いておくと、わたしは、「羅の表紙は、とく損ずるがわびしき」ではじまる八二段にも共感を覚えるのである。

「羅の表紙は、とく損ずるがわびしき」と人の言ひしに、頓阿が、「羅は上下はつれ、螺鈿の軸は貝が落ちて後こそいみじけれ」と申し侍りしこそ、心まさりして覚えしか。一部とある草子。巻物などの、同じやうにも荒ぬを見にくしといへど、弘融僧都が、「物を必ず一具にととのへんとするのは、つたなき者のすることなり。不具なるこそよけれ」と言ひしも、いみじく覚えしなり。 (八二段 ※部分)

羅(うすもの)の表紙は天地の糸がほつれ、螺鈿で装飾された軸は、貝が落ちたあとが味わい深いものである、と。何事も整い過ぎているものはみっともないものである。


参考文献:小川剛生訳注『徒然草』角川ソフィア,2015





SPAC(静岡県舞台芸術センター)『ロミオとジュリエット』(構成・演出:オマール・ポラス 2016年2月、3月公演)に、大抜擢された静岡大学 人文社会科学部 言語文化学科 宮城嶋遥加さん企画の戯曲を読む会・リーディングカフェへ。
http://spac.or.jp/romeo_2016.html
個人の活動だからなんてしょぼいことを言ってないで、大学をあげて応援してあげればいいのにね。

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( ↑ )俳優・奥野晃士さん(左)と宮城嶋遥加さん(右)

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( ↓ )SPACの俳優、三島景太さん、横山央さんが、鳴り物ピーヒャララと授業に乱入(黒板の2月10日は、お芝居とは関係ないレポートの提出日ね)。

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( ↓ )静岡市美術館に行ったり、静岡市立芹沢銈介美術館に向かったり。

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今年も恒例のコミュニティ放送(FM-Hi)のTJの番組に呼んで頂き(もうかれこれ10年目?)、今年を振り返りつつ、来年の取り組みについて話す。

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