平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

うさぎと鳳凰とキスと   2015/06/09

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静岡大学主催のアートマネジメント力育成事業でお世話になった筧有子さんと京都在住のアーティスト・上野千紗さんの二人展「うさぎの革命」(於・gallery trace)を見に京都へ向かった。筧さんとは、育成事業以来、2年ぶりの再会である。

ところで会場に着いて、しばらく作品を拝見するも、作品展タイトルになっている「うさぎ」の姿がどこにも見えない。某かの仕掛けがあるのか、それとも見立てなのか、きっと鑑賞者は問われているに違いない。
そこで改めてステートメントに目をやると、「本展は、弱者の手法で地球上での存在を維持し続けている『うさぎ』に共感を持つ二人の女性作家の展覧会である」との記述を見つける。なるほど、うさぎをテーマに作品をつくっているというよりも、「二人のうさぎ」が作品づくりを通して革命を起こそうと企んでいるんだと合点がいった。

うさぎには声帯がなく、ほとんど啼くことがない。つまり本展では、「沈黙の革命」が作品のテーマではないかと深読みもした。あるいは、弱さ、こわれやすさ、といった主題が作品づくりに隠れているのではないかとも推察した。
作品と対峙し、アーティストトークをうかがったら、このカンもまんざら間違ってはいない気もしてきた。


・gallery trace 公式サイト
http://trace-kyoto.com


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向かって左から、筧有子さん、上野千紗さん、進行役の遊免寛子さん(兵庫県立美術館学芸員)

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せっかくの京都、時間の隙間を縫って、平等院へ。
いったい何十年振りだろう。
フランク・ロイド・ライトはこの建築を模して、帝国ホテルを設計した。

先ずは浄土式庭園の池越に阿弥陀如来坐像を拝顔、
続いて阿弥陀堂に入り、大迫力の阿弥陀如来坐像を間近に拝む。
本尊の迫力もさることながら、雲中供養菩薩像の細工に唸る。3Dの早来迎図である。
境内の一角には博物館「鳳翔館」ができており、阿弥陀堂にあった雲中供養菩薩像(52躯)の半分が取り外されて館に展示されていた。


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友人 高木史幸さんキュレーションの『見る 触れる 感じる AFRICA』を見に横浜へ(於・gallery fu)。
「キスマサイ」という作品をはじめてこの目で拝見する。キスはスワヒリ語でナイフの意味。ナイフを使ってペンキで描いたマサイ族の生活は、想像を超えて色と躍動感に満ちあふれていた。ナイフで擦ったり、盛り上げたり、切り込んだり、スナップをかけたりした痕跡が画面全体を覆い、見る者に強い印象を残す。

当日は、「キスマサイ絵画との対話 〜そうぞうしてみましょう、アフリカ〜」を高木さんのガイドによって旅しながら、タンザニアやマサイ族の生活文化をたっぷりと堪能した。一枚の絵と一時間も向き合うことはあまりない体験だ。しかもこのギャラリートーク&ワークショップを一緒に体験・旅した参加者らは、あっと言う間に仲良くなった。これも間違いなく美術の楽しみ方のひとつだ。とにかく楽しかったし、gallery fuが実にいい空間であった。



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