平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

時速270キロ・オフィス

mado

 新幹線を利用することの多いわたしは、移動中は読書の時間ですか?とよく聞かれる。いえ、移動中はなぜか読書には集中できないのです、と答える。では一時間も一時間半も車内で何をしているのかといえば、手帳を取り出して、スケジュール調整の時間に充てている。この作業は読書とは違って、なぜか異常に集中できる。巧くスケジュール調整ができて、進行中のプロジェクトの結果がクリアに見えたときには、我が脳は膨大な快楽の汗を流し欣喜雀躍している。脳とはそういうものだ。
 そう、スケジュール調整がサクサク進めば、残り時間はiPodで中島敦や樋口一葉の朗読で漢文調のリズムを体にたたき込んだり、漱石の『夢十夜』で自分も夢現になってみたりしている(要は、眠っているってことです)。

 今回名古屋に出かける際、ある方からどうしても仕事のことで相談に乗って欲しいといわれ、「ならば名古屋に着くまでの1時間半の間なら」という、かぐや姫的無理難題を投げかけたら、なんとそれでも良いですとおっしゃっていただいて(汗)、A3の紙6枚裏表を真っ黒にしながら、みっちり90分間270キロで走るオフィスで喋りまくった。で、ホームでさようなら〜。
 実はこういう形式の打合せは初めてではなくて、過去にも三度 静岡、東京間で新幹線車内打合せをしてきた。これは、けっこう能率が上がる。時間はケツカッチン、クライアントも経費(乗車券)一万数千円がかかっているからいつになく真剣になる。
 よろしかったらみなさんも、この打合せ、試してみませんか。
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〈走るオフィスの最高速〉
・東海道新幹線:270キロ
・山陽新幹線:300 キロ
・東北新幹線:275キロ
・上越新幹線 :270キロ
・長野新幹線:260キロ
・在来特急:約130キロ
・飛行機 :約950キロ

さて、あなたは何キロで走るオフィスを選ぶ?

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