平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

アベキヒロカズの仕事  2011/01/18

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わたしが「本みたいなポストカードにしたい」と伝えると、こんなデザインを提案してくれたアベキヒロカズさん。平面が立ち上がった瞬間。 「折る」という行為で展覧会に参加する鑑賞者。きちんと背表紙まである。当時はひじょうに斬新なデザインとしてポストカードそのものが話題をよんだ。(2005)
チラシがそのままブックカバーになり(片側が文庫用、もう片方は新書用)、端を切り取るとそれが帯になるなど、発想に溢れていた。





今から6年ほど前、わたしは東京・九段下にあるアートと本を並べて語るブックアートギャラリーで2年間ほど企画展を担当した。そうして、そのGALLERYから発信するフライヤーをデザインしてくれていたのがアートディレクター アベキヒロカズさんだ。

わたし自身の企画 せどり男爵 平野雅彦の「ブックデザインの世界を読む展」のツールもアベキさんが担当してくれた。この企画を通して、今でもつながっている大勢の方々と知り合った。そう考えると、その交友関係はアベキさんが編集してくれた、ともいえる。

アベキさんから出てくる案は、常に想像をプラス方向に裏切り、当時のGALLERYスタッフを欣喜雀躍させた。次はどんな案が出てくるのだろう、そんな期待でいつもいっぱいだった。

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当時ギャラリーが企画した、作家・井上ひさしさんの遅筆堂文庫展も、詩人・高橋睦郎さんや版画家・山本容子さんの個展も、挿絵画家の吉田稔美さんと装本家・西尾彩さんの二人展も、わたしの敬愛する活け花作家・中川幸夫さん/麻殖生素子さんの二人展のフライヤーもやっぱりアベキヒロカズさんの仕事だった。
ごく普通の告知を、いかに見やすく美しくレイアウトするか。実はそこでデザイナーの力の差が出てしまう。奇をてらうのはむしろ簡単なのだ。

そのアベキさんとはすっかりご無沙汰していたけれど、サイトを検索してくれたのか、大学宛、最近の仕事を送ってくれた。まずは忘れずにいてくれたことがうれしい。そうして、その腕がますます冴え渡っていたことがもっとうれしい。

またアベキさんにも教わりたいことがいっぱいある。

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「星新一展 2010」

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「久世光彦展 2009」 

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「宮尾登美子展 2008 」(いずれも世田谷文学館)

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「上海万博 日本産業館INAX社出展ドキュメンテーション EXPO 2010 SHANGHAI CHINA」もアベキさんの仕事だ。



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